北島邦彦の5/30-31福島訪問記~「福島の怒りをともにする」ことの核心を求めて

5/30-31、NAZENの仲間とともに福島へ。春先から計画してはいたのですが、常磐線竜田延伸阻止の動労水戸の大ストライキ闘争と、「美味しんぼ」をめぐる社会的論争の渦中での福島行きとなりました。
「福島の怒りをともにする」と言いますが、その「怒り」の核心に身をもって迫りたいという想いからです。福島現地で闘う福島労働組合交流センターの仲間のおかげで、様々な人たちと出会う機会をもてました。感謝です!
まずはふくしま共同診療所へ。事前に予約を入れておいたので、甲状腺のエコー検査を受けることができました。
県の甲状腺検査での2~3分の時間ならまだしも、頭をのけぞらせての15分の検査は、子どもたちにとっては煩わしいことかもしれません。
検査結果の説明を受けながら、そのことを布施医師に聞いてみました。検査が途中で終わってもいいんです、一度の検査で甲状腺のす
べてを見ることはできないから、検査の間隔を狭くして継続的に検査することが大切なんです、とのことでした。ふくしま共同診療所が実施している検査と、県のそれとの本質的な相違がはっきりとわかりました。ふくしま共同診療所の存在意義とこれから未来にわたって果たすべき役割の大きさが、あらためて明確になりました。
東京でもNAZEN運動の中心的課題として、ふくしま共同診療所へのさらなる支援運動の拡大を進めていきましょう。
(落合恵子さんのメッセージが貼ってありました。落合さんは絵本を寄贈してくれていました。)
(ふくしま共同診療所が目指す理念が掲示してありました。)
(布施医師に診療所支援カンパを渡しました。)
ふくしま共同診療所訪問のあと、最初にお会いしたのは、飯舘村から避難して、福島市でカフェをされている女性でした。政府―行政と東京電力に対する彼女の怒りは激しく、まずはそれに圧倒されました。
原発爆発後にも村からの避難指示は遅々として出されず、「信じていたのに、裏切られた」ことへの怒りの激しさです。それは、この現状を突破するには、これまでの社会が変わらなければどうにもならないという想いでもあると感じました。原発反対運動に関わっている人やボランティアの人など、彼女はこの3年間に多くの来店者と話をされたそうです。そして、「この人は福島のことについて本気なのかどうかわかるようになった」と。ドキリとしましたが、「今日は本気になってしゃべっちゃった!」と言ってもらえました。
浪江から避難している人たちの仮設住宅を訪問しました。あらかじめ福島の仲間が企画してくれていた子どもたちを集めての紙芝居と、北富士への保養の説明会を開き、いずれも大成功でした。
仮設住宅に住む人たちは多くは語りませんでしたが、胸の内にあるやりきれない想いは容易に想像できます。
私も仮設住宅を直接見るのは初めてでしたが、外観を見るだけでも、居住空間としての温もりは皆無であることがわかります。ここに3年も住み続けることがどういうことか、怒りなしに振り返ることはできないだろうと痛感します。
午後6時からは、福島駅前での金曜行動に参加。杉並に比べるとビラの受け取りが違います。
(署名もたくさん集まります。)
5/31(土)
異様の一言に尽きます。積み上げ作業をしている労働者が数人作業をしていましたが、まさしく被曝労働にもかかわらず特別な装備はいないようでした。しかも、道一本へだてた向かいが仮設住宅です。放射能から避難してきた人たちのすぐそばに、放射能に汚染された土壌を置いておく、この無感覚が許せません。そういえば、途中で道を聞いてわからなかった除染作業員は、岡山から働きに来ていた労働者でした。
福島市民会館の体育館に設けられた「さんどパーク」へ。体育館の中に砂場が設置され、おとなが遊んでもおもしろそうな遊具が多数置いてあります。子どもたちが無邪気に笑いながら遊んでいる姿と、やっぱり砂場が屋内にあるという異様な情景の落差が、かえって胸に突き刺さります。
私たちのような見学者は15分間のみ視察を許され、代表者の住所・氏名の記入や名刺の提出を求められるなど、きっちりと管理されています。この事態もまた、原発―核の存在がそもそももっている独占性・排他性に起因するのでしょうか?
(現在の放射線量を示す線量計が各所にありました。)
午後からは、いわきで闘われた常磐線竜田延伸阻止の動労水戸ストライキ貫徹集会&デモへ。
労働組合が被曝労働拒否を掲げてストライキを打つ。この力強さ、頼もしさ。動労水戸のストライキに対して、仮設住宅に住む人々から強烈な共感や支持が寄せられたというのも頷けます。デモへの声援もすごいもので、3.11いわきデモに対する声援をはるかに凌駕するものでした。
この2日間で感じたように、福島の人々の怒りは多様であっていろいろな方向性をもっています。しかし、労働者―労働組合の闘いを軸にするならば、その怒りのすべてが集まることができます。動労水戸のストライキ闘争はそのことを実証しているからこそ、福島の地にガッチリとした地歩を築きつつあるのだと思います。反原発闘争の核心的課題がここにあります。濃密で重い福島での行動でしたが、私自身にとっても直面している杉並選挙闘争にとっても、学ぶことのきわめて多いものになったと確信しています。
福島の人たち、NAZENの仲間たちに感謝!
北島邦彦 記
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