この社会のあり方への根本的な疑問を突き出した子育て世代の決起

東京新聞2月19日img016 いま、保育所への入所を拒否された親たちの怒りの抗議行動が各地に広がっていて、保育の民営化につきすすむ国や自治体との全面的な激突になっている。その最初の抗議行動は杉並区から始まった。
    新年度に保育所に入れなかった子どもは、杉並区で1800名に及ぶ。母親たちは杉並区に対して行政不服審査をおこした。「すべての子どもたちを認可保育所に入れよ」これが母親たちの要求だ。都政を革新する会はこの怒りとたたかいに全面的に連帯しともにたたかう。

23区で待機児童がもっとも多い杉並区

 現在、東京都で待機児童がもっとも多いのは杉並区だ(※1)。国や自治体は、いますべての事業を民営化しようとしている。中でも「保育所」は激しい民営化攻撃にさらされている。とりわけ杉並区は、山田前区長の時代から全国自治体の先頭をきって「杉並丸ごと民営化」をかかげ保育所はじめとして民営化を激しくおしすすめた。現田中区長もその路線を引き継いでいる。親たちの怒りがまず杉並から燃え上がったのは理由があるのだ。都政を革新する会は、杉並区議会で北島邦彦区議の時代に区の民営化攻撃に対して絶対反対の立場を貫いてきた。しかし、今の議会に「保育所の民営化絶対反対」を主張してたたかう政党・政派は皆無である。

許せない田中区長の「回答」

 田中区長はこの親たちの怒りの抗議に対して、なんと「認可保育所一辺倒は時代遅れ」と言っている。実に許せない言葉だ。そして、①各認可保育所の定員を増やし4月までに100人分(保育士や施設面積の増などなしでやろうとしていることは明らかだ)、②新年度の早い時期に認可外施設で100人分の保育定員増をはかるという回答をした。しかし、1800人に対してわずか200人という微々たるものである上に、基本的には、認可外保育所の増で切り抜けようとしている。
 しかし、親たちの要求はあくまでも、施設面積や保育士の配置について国の基準が保障される認可保育所の整備を求めているのだ。例えば、都の「認証保育所」のように、国の基準を切り下げ園庭すらない劣悪な条件で民間資本を導入して運営されている保育所を求めているのではないのだ。児童の事故は年々増えているが、圧倒的に認可外保育所での事故が多い。また、保育労働者の労働条件も悪い。もっとも、認可保育所であっても労働者の非正規職化が進められ、賃金切り下げなどの攻撃が強まっている。

労働者と母親のたたかいを結んで

 いま、自治労が「4月26日に全国ストライキ」の方針を打ち出している。それは国・自治体の労働者に対して賃金7.8%、退職金400万円削減など前例のない攻撃をしかけているからだ。安倍政権は「地方交付金を切る」という問答無用の強権発動でやろうとしている。民営化反対、外注化反対、非正規職化反対の労働者のたたかいと、保育を要求して立ち上がった母親たちの怒りの抗議行動はむすびあって力を発揮するのだと思う。

 また、保育所に入れなければ育休後に復職できないということだ。今の青年労働者家族にとって共働きは生きるための不可欠の条件だ。その意味では女性労働者への解雇に等しい攻撃でもある。「生きさせろ」の声をあげ行動をさらにおこしていこう。

東京新聞2月26日img017※1 東京新聞(2月26日)によれば今年4月時点で、東京23区の待機児童数(各年度当初の「ゼロー5歳児」の総受け入れ枠と総申し込み者数差し引きして入所できない人数を割り出したもの)は1万9000人もいる。この5年間で2.6倍に増えている。4月からの入所希望者で入れない子どもの割合がもっとも高いのは杉並区だというのだ。その割合は半数をはるかに超える62%。認可保育所を造らず、民間の認可外保育所で対応する方針をかかげていたからだといっている。

   <写真:上・東京新聞2月19日、下・東京新聞2月26日>

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