杉並・住民の会「かいらんばん」 100号より

猛暑をはねのけ、7・16代々木公園に17万人が集う!

原発再稼働、消費大増税、福祉切り捨てへの怒りがひとつになって会場にあふれた

7月16日、代々木公園は全国から集まった17万人の人波であふれかえっていました。ひどい暑さの中を、しかし、同じ思いで集まった一体感をみんなの素晴らしい笑顔が示していた。首相官邸前の何万何十万の「再稼働反対」の叫びを「大きな音だね」と言い捨てて大飯原発の再稼働を強行した野田首相。「もう許せない」「怒りを行動で示そう」と代々木公園に集まったのです。

 呼びかけ人の訴えから

■作家・大江健三郎さん
 750万を超える署名を持って首相官邸に行ったが、それに対する答えは大飯原発の再稼働だった。政府のもくろみをうち倒さなければならない。
■音楽家・坂本龍一さん
 42年前、18才だった私は、日米安保改正反対でこの公園にいた。日本の市民が再び声を上げたのは感無量です。                                   ■ハイロアクション福島・武藤類子さん
 福島の現状はあまりにも厳しい。4号機、甲状腺検査、再稼働、がれき問題、安全保障、廃墟と復興のはざまでひっそりと絶たれていく命たち。分断のわなに落ち込むことなく賢くつながり合っていきましょう。
■作家・沢地久枝さん
 核に汚染され、命が細々と生きる地球にしないため、日本が率先して核を捨てる選択をしてほしい。政府は日本人からふるさとを奪った。生まれて良かったと思う国にしなくては。

2012年を国と社会 を変える年にしよう

大震災と福島原発事故から1年目の3月11日、福島・郡山で原発いらない1万6千人集会があり、以来、首相官邸前で10万20万の民衆が行動をおこし、ついに労働組合も加わり歴史を画するたたかいになっています。原発再稼働強行、消費大増税、福祉はどんどん切り捨てる野田政権を倒して労働者民衆が歴史を変える、そういう年にしましょう。

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介護報酬改悪(今年4月)の狙いは何?

高齢化のピーク(2025年)にむけて介護の徹底切りすてはかる

 労組交流センター・医療福祉部会の「介護保険制度を問う!」学習会(5月)に事務局が参加しました。講師は福祉職場の労働者Yさんです。
 

高齢化のピーク(2025年)にむけて介護切り捨てをねらう

今年4月に実施された「介護報酬改定」は2025年(■注1)にむけて介護保険をさらに民営化、外注化し、派遣ヘルパーや施設の介護労働者をパートやアルバイトなど非正規職化しようとするねらいをもった攻撃です。それは同時に、介護を受ける高齢者から介護を奪い、介護保険料や自己負担を増やすことになってしまいます(■注2)
 「医療・介護・予防・住まい、生活支援サービスが切れ目なく提供される地域包括ケアの実現へ」。こういうふれこみで、日常生活圏域(30分でかけつけられる範囲の地域)でサービスを提供する仕組みをつくろうとしています。

 病院から居住系施設へそして在宅へと誘導                      そのために、24時間いつでも対応できる「定期巡回型・随時対応型訪問介護・看護」とか「看護師を配置した小規模多機能居宅介護」を中心に介護を展開しようとしているのです。厚生労働省はこのサービスが「2025年問題」の要となるサービスだと言っています。
 要は「病院から居住系施設へ、在宅へ」を推進するためのものなのです。

ヘルパーには過酷な労働を強制ー高齢者にはこま切れ介護              これは介護をする労働者にとっても、介護を受ける高齢者にとっても、さまざまな負担を強制されることになります。
 ヘルパーは、30分でかけつけ、45分くらいで介護を
し、また、次の高齢者のところにかけつける。人間と人間とのふれあいなどほとんど感じられない機械的な介護をせざるを得ない。24時間対応だからヘルパーは深夜の移動など危険にさらされ、過酷な労働を強いられる。こんな労働条件ででどうやって労働者、しかも非正規の労働者を確保できるだろうか。そして、目まぐるしく変わるヘルパーの介護を受ける高齢者。
これが「住み慣れた地域で、家で」とキャンペーンされている中身です。

 庶民には高嶺の花の
 新型老人ホーム しかも、介護を受ける高齢者の側は、給付制限があるから、充分な介護を受けようとすれば数十万円もの自費かかるということになってしまう。今までは特別養護老人ホームに入所しても、10万円くらいでやれたのが、今では「ユニット型」と言って、個室中心のホームしか新設を認めない。このタイプの老人ホームの広告が毎日毎日いやというほど新聞紙面を飾っています。何千万円の入居一時金、月20~30万円の利用料・・・。住民の会の皆さんのなかから、「自分たちにも入れるホームを」という切実な声が出されています。

■(注1)
 2025年問題とは?
 2015年に「ベビーブーム世代」が前期高齢者(65~74歳)に到達します。その10年後(2025年)には高齢者人口は約3、500万人)に達し日本の高齢化はピークになります。ここから「高齢者の医療・介護費用を如何に安く上げるか」「消費大増税」が叫ばれている。しかし、財政危機は大企業への湯水のような税金投入が原因です。

■(注2)
 介護保険料の値上げ
  『かいらんばん99号』(前号)でお知らせしたように、杉並区では4月から介護保険料をこれまで月4千円だったものを月5千2百円に引き上げました。30%の値上げです。(これは基準額ー本人が区民税非課税で他の世帯員が区民税課税、本人の合計所得金額と果然年金収入額の合計が80万円を超える方の保険料)です。

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生活援助の時間区分を1時間から45分に                       今回、訪問介護・生活援助の時間区分を「45分以下」「45分以上」の二つの区分に変更しました。これまで1時間でやっていた生活援助を45分以内でやれ、それ以上だと単価が低くなるぞ、と事業所をおどかしている。事業所は、ヘルパーが短時間(45分以内)で回数をこなせばより儲かる仕組みとなるわけです。
 現場では、これまで1時間でやってきた生活援助を45分以内に押し込めようとヘルパーに無理をさせたり、利用者に、45分以上は「で
きない」とか「やって欲し
かったらあとは自費で」と強制している例もあります。
 本来、生活援助は介護の土台です、高齢者が生活を成り立たせる基本であるにもかかわらず、切り縮めようとしている。これは将来、生活援助というサービスを介護給付からなくしていこうという布石なのです。

「介護職員処遇加算」 は労働者のもの                         3年前に導入された「介護職員処遇改善交付金」が廃止され「介護職員処遇加算」制度が導入されました。 介護労働者の収入や労働条件があまりに悪いので、労働者がドンドンやめてしまったり、応募してこない。国の責任を追及する声が高くなる中で、導入されたのが「処遇改善交付金」でした。しかし、「交付金」は手続きから支給まですべて事業所がおこなっていて「労働者の処遇改善になっているか疑問だ」と批判されていました。今回の「加算」は個々の労働者がどのくらい支払われるのか把握できるようになった。だから「加算」をしっかり労働者の手に入るようにすることはできる。事業所がごまかせないように労働者が団結してたたかうことだ。
■この提起に、介護労働者から、「職場のたたかいとして、事業所に対して要求していきたい」と意見が出されました

ヘルパーさんとお年寄りは力をあわせて介護を獲得していく仲間です

◎お年寄りとの信頼関係を築くことに一番心を配ります                 討議の中でヘルパーさんから次のような問題提起がありました。
 「私たちヘルパーはお年寄りの暮らしを一生懸命介護しようと働いています。そういう点ではお年寄りとヘルパーの信頼関係を築くことにいちばん心を配ります。信頼関係ができるなと感じられるときはヘルパーという仕事に張り合いや、誇りを感じられます。でも、中にはそうならないときもあるんです。一番悲しいのは、お年寄りから「あのヘルパーさんには来て欲しくない」とか、中には「物を盗られた」「仕事を手抜きしている」とか中傷された時です。事実なら非難されて当然ですが、事実無根のときはやりきれない気持ちになります。事業所はある意味で客商売ですからほとんどお年寄りの言い分を聞いてヘルパーの言い分には耳をかしません。ヘルパーを交代させたり、ひどい時には、解雇したりする。そのような現実があることを、介護を受けるお年寄りにも知って欲しいと思うんです。
 根本的には、介護が民営化され利潤目当ての企業が介護を金儲けのための事業としてやることになったことに原因があると思うんですが。
◎住民の会運営委員会でも論議しました                         介護をうける立場の高齢者にとっても大事な内容なので、7月の住民の会運営委員会にKさんに参加してもらって討議しました。
■介護を担う労働者の権利が守られ、労働者が安心して働けることは介護を受ける高齢者にとっても必要だ。
■お金が苦しかったりして、わざとヘルパーさんを拒否することもあるし、気が合わないからと、あることないこと告げ口するお年寄りもいる。
■そういう現実をつかって労働者の犠牲で乗り切ろうとするのが事業者だ。
■住民の会の方々のご意見を寄せてください。

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福島の怒り想いにつらなりすべての原発を廃炉に!
6・23杉並集会が大成功!                                     北島邦彦すべての原発いますぐなくそう!全国会議=NAZAN・杉並事務局)

杉並からあらたな反核?反原発の運動を!

6月23日、NAZEN杉並(すべての原発いますぐなくそう!全国会議・杉並)は杉並産業商工会館講堂で「福島の想いにつらなり、すべての原発を廃炉に」集会を開きました。集会は165名の参加をえて熱気のうちに大成功しました。杉並住民の会も集会に賛同し参加しました。
 この集会は反原発運動の本格的前進、とりわけビキニ被爆をきっかけに爆発した原水爆禁止署名運動の発火点となった杉並の地から、新たな反原発運動を創り出そうとするものでした。青年を軸に毎月の地元でのデモや、街宣行動を積み上げて集会を準備してきました。
 集会は、「子ども福島」の佐藤幸子さんとガン総合相談センター所長であり「福島診療所建設委員会」の松江寛人医師の講演を中心に、活発に発言が続きました。

  福島切りすてを打ち破る砦としての診療所を作りたい                「子ども福島」の佐藤幸子さんは、1年3カ月たった今、福島現地での、「内部被曝なんかない」と、子どもたちの被爆を心配する声を押しつぶそうとする攻撃、また、それをうち破る闘いの大変さを語られました。そして、3・11前までの食と農業・健康と医療を本来の姿に取り戻すご自分の取り組みが、原発事故ですべて奪いとられた怒りや悲しみを率直に語り、福島の切り捨て「分断」をうち破る砦としての「診療所」の重要性を強調されました。何より野田首相の「国民の生活を守るのが自分の責務」発言に怒り叩きつけ、「何年も先の未来に責任をとれるのか」と弾劾しました。

 被曝とたたかう福島の人々の砦=診療所を「この秋にも開設したい」(松江医師) 松江医師からは、ガン治療に長く関わってきた経験から、「どんな微量な放射線であっても人体に悪影響を与える」とし、「放射線は安全」とデマをまき散らし、福島県民・子どもたちを切り捨てる福島県立医大副学長・山下俊一を徹底的に批判された。そして福島の人たちの念願である診療所を、現地の仲間と一体となってこの秋頃には開設したいと決意を述べられました。

                                                  

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