放射5号線延伸計画やめさせよう
玉川上水の自然と環境を守ろう
都革新事務局長 北島邦彦
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| 玉川上水(久我山 2001年12月2日) |
玉川上水のほとりを歩いていると、やはり「あの」イメージは、どうにもしっくりきません。東京都が今年7月に発表して、地元説明会まで開催した放射5号線基本計画(B案)の完成イメージ図は、玉川上水がもっている自然のありようとはかけはなれています。東京都が説明する「玉川上水など地域の環境に配慮した都市計画道路建設」とは、そもそも矛盾するふたつのことを並べているとしか思えません。
B案でも、玉川上水が“形として”は残されています。しかし、7.5m(2車線)の太い道路に両側をはさまれたありさまでは、これまでの玉川上水と私たちの関係はなりたちようがありません。通勤や買い物の行き帰りに、「ちょっと回り道して玉川上水のほとりを歩いてみよう」などと気軽に私たちの足を誘ってくれたのが、これまでの玉川上水でした。
ところがB案では、玉川上水のほとりを歩くためには、横断歩道か歩道橋を渡っていくことになるでしょう。あるいは、大量の自動車が走る道路を横切っていくことになるのでしょうか。いずれにせよ、玉川上水と私たちの距離は、とりかえしのつかないぐらい遠いものになってしまうでしょう。
全体の幅60mの工事は、大規模な地面の掘りおこしをする大工事です。広い範囲で掘りかえしても最後に埋めもどしさえすれば、その土地はかつてのままだと言えますか。玉川上水に群生する野草や虫などは、ひとつの生態系をもって、ともに生きています。
それが破壊されるのはまちがいありません。もう一度形態だけは同じ土地にもどしてみても、そこにはかつてのような生態系はもどってはきません。B案によって残された玉川上水は、形だけの死んだ玉川上水です。一度喪った自然環境は二度ともどってこないことを、東京都にはもう少し深く考えてもらわなければ困ります。
そのうえで、東京都は「区境通りの交通渋滞の緩和」という名分をもちだしてきます。確かにこの地点の交通渋滞はひどく、沿線で排気ガス汚染の被害を受けている住民も多数あります。けれども、渋滞の緩和=交通量の減少というわけではまったくありません。道路が広く整備されれば、その道路を通行しようとする自動車の数が急増することは、他のバイパス道路の例からも明らかです。交通事故や新たな型の大気汚染が生みだされます。
「(井荻トンネルが完成したため)交通量は増えたが通過時間が短縮された、したがって道路整備がなされた」(環8・井荻トンネルを例にとった東京都の説明)というのは、道路を建設する側の論理であって、住民の生活実感にはそぐいません。ほんとうに東京都が本腰で交通政策を考えるのならば、自動車の総量規制について政府や企業に強力にはたらきかけることです。
放射五号線建設計画については、総合環境アセスメント制度の試行作業として、鳴り物入りで宣伝されていたものです。総合環境アセスメント制度の考え方は、ある公共事業計画について中止も含めて検討を加えることであったはずです。しかし、今回の試行作業のなかでは、あらかじめ建設ありきで論が立てられ、中止という判断をする選択肢は最初からありませんでした。これでは従来の条例アセスメント制度となんら変わりありません。
企業の立場や行政のメンツにこだわるのではなく、ほんとうに住民の立場に立った行政のありかたをつくりだす必要があります。いわゆる“お上”に頼っているわけにはいきません。放射5号線・玉川上水をめぐっては、住民の意思はどこにあるのか、署名運動の大々的な展開など、求められている課題がようやく明確になってきたのではないでしょうか。 |