福祉施策をつぎつぎとうちきり 都で働く職員に首切りと賃下げ
都は、7月29日、「財政再建推進プラン」を発表しました。それを受けて8月3日、「福祉施策の新たな展開」を打ち出しました。この2つを重ねると石原都政の当面の重点がかなりはっきりします。今回はこの石原の「財政再建推進プラン」について語ってもらいました。
ゼネコン優先に手つけず福祉・教育・くらし犠牲に
まず、『財政再建推進プラン』を、ズバリどうとらえるか、という点ですが。
長谷川 いくら都が「財政再建団体転落の危機」だからといって、絶対やってはならないことがあります。今度の『プラン』は「財政再建」とは名ばかり、実際には、その原因であるゼネコン優先の公共事業には手をつけず、都で働く職員の首切りや給与引き下げ、福祉や都民サービスを打ち切るものです。一言で言って、都民へのいわれなき犠牲のおしつけです。
国会では、自自公による中央省庁再編法・地方分権一括法案が通り、大規模な行革・リストラがこれからますます強められようとしています。さらに、給付を削減し保険料を引き上げる年金改悪法案が秋の臨時国会にひきつがれ、高齢者医療費一割定率負担の医療保険改悪、来年4月介護保険強行をはじめとする社会保障切り捨てに、手がかけられようとしている。この流れの中で、真っ先に石原都知事が舵をきったということです。
『財政再建推進プラン』の具体的内容はどうなっているのですか。
長谷川 2003年度に見込まれる6300億円の財源不足に対して、
@「内部努力」で1600億円
A「施策の見直し」で2400億円
B「徴税努力」と「受益者負担の適正化」(使用料・手数料など公共料金の値上げ)で550億円
C「税財政制度の改善」で1750億円で、
4年間で財源を確保するというものです(表・1参照)。
このうち、C「税財政制度の改善」について、はっきりした見通しはありません。あるとしたら、消費税が大幅に引き上げられた場合の地方消費税です。さらに実体をよくみると正体がはっきりします。
@「内部努力」のうちの「監理団体に対する財政支出の見直し」とA「施策の見直し」のうちの「経常経費の見直し」は、いずれも福祉・教育・都民サービスなどの゛事業の見直し”です。その合計額は2300億円。これは「投資的経費の削減」、つまりゼネコンなど大企業向け投資の「削減」600億円の実に4倍です。都民の福祉・教育・くらしにかかわる事業を2300億円分も削るものです。
老人医療やシルバーパス 障害者手当など切り捨て
それで「福祉施策の新たな展開」に対して、「現制度は必要なものばかり。削減方針には怒りを覚える」と「障害者」と家族から抗議があがっているわけですね。
長谷川 怒りにたえないものです。発表されただけでも、老人医療費助成制度、シルバーパス制度(高齢者向け無料乗車券)、老人福祉手当、重度心身障害者手当、心身障害者福祉手当、心身障害者医療費助成制度、ひとり親家庭医療費助成制度など、11事業が削減の方向で見直しに入っています(表・2参照)。
1960年代の美濃部革新都政以来の福祉施策を全部ひっくり返し、打ち切るということです。石原知事の施政方針演説そのままに、「経済給付的事業から(民間による)サービスの供給体制の整備に施策の重点をシフトする」「緊急性・必要性の高い施策に重点的に配分する」と言っています。要するに、高齢者や「障害者」やひとり親家庭の福祉は、「緊急性」も「必要性」もないから、切り捨てると言うのです。
石原が「福祉施策」という言葉を使うのは、これまでの福祉という意味ではありません。必要な人がサービス提供者(事業者)と契約して金で買うべきものだという意味です。福祉は国や自治体の義務であり、私たちの権利ということからの転換です。
石原行革と闘う都労連を全都民の力で支援しよう
もうひとつの柱である5000人の人員削減については。
長谷川 @「内部努力」のうち「給与関係費の削減」は500億円で、5000人の人員削減と計算しています。金額を比べればはっきりしますが、「投資的経費の削減」の600億円とそんなに変わりません。一体、都の職員が財政危機の原因を作ったとでも言うんですか。バブルに明け暮れ、金にあかして、ふくらんだゼネコン支援額を少し減らすから、都の職員も同じくらい「血を流せ」というのですか。都の職員が、そのために給与カットや首切りを受けなければならない、いわれなど何ひとつありません。
5000人の人員削減の中には、区移管の清掃事業はふくまれていません。事務管理部門、交通局などの公営事業部門、都立高教職員が主な対象です。そのうえ石原は、この゛人員削減”を、先に述べた福祉・教育・都民サービスの゛事業の見直し”といっしょにやろうとしています。だから実際には、首切りは「給与関係費の削減」として出されている数値である「5000人の人員削減」にとどまらない、もっと大規模なものになるのです。ここをはっきりさせないと、青島行革・組織再編プラン=1万人削減よりまし、という間違った評価になります。
石原は、都民に向かっては゛都も人員削減で血を流しているのだから事業見直しで都民に痛みがあっても飲んでくれ”とし、都職員に向かっては゛財政再建のためだ。やめてもらわざるをえない”という構造で攻撃をしかけています。
ここには、もう1つ、日本の労働組合運動で国労とならぶ位置をもっている、労働組合=都労連を、この際つぶすという意図があるのです。逆に都民は、都労連を支援して闘うことで、福祉・教育を守ることです。都の職員は、都民の福祉・教育を守るためにも、自らに対する石原行革=首切り・賃金引き下げと闘う。この関係をはっきりさせましょう。都民と都労連の共同の闘いで石原反動都政と対決しましょう。
表1 財源確保の目標 |
@内部努力 1600億円
給与関係費の削減 500億円
管理事務費等の削減 600億円
監理団体に対する財政支出の見直し 500億円 事業の見直し
A施策の見直し 2400億円
経常経費見直し 1800億円 事業の見直し
投資的経費の削減 600億円 事業の見直し
B歳入確保 550億円
徴税努力 400億円
受益者負担の適正化 150億円
C税財政制度の改善 1750億円
税源の移譲等 1500億円
財源調整措置の廃止 250億円 |
表2 「福祉施策の新たな展開」で削減方向で見直しの対象にされている主な事業 |
▼乳幼児医療費助成制度
▼児童育成手当
▼ひとり親家庭医療費助成制度
▼重度心身障害者手当
▼心身障害者福祉手当
▼心身障害者医療費助成制度
▼老人医療費助成制度
▼シルバーパス制度
▼老人福祉手当
▼特別養護老人ホーム運営費加算 |
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