街を壊し3000世帯立ち退かせる「地下化」外かん道は白紙撤回に
6月29日には、都議会定例議会本会議で、石原知事が所信表明しました。石原都政の問題点は、最大の問題である都財政危機とリストラにはじまって、都営事業民営化、公共料金値上げ、横田基地問題、戦争責任問題、「日の丸・君が代」法制化など、数え切れません。それが《石原反動都政》たるゆえんですが、今回は、動き出した「東京外かく環状道路」について、長谷川さんに語ってもらいました。
「まちづくり」を表看板に凍結された計画動き出す
長い間凍結されてきた「東京外かく環状道路」(以下、「外かん」)について、石原都知事になってから、新聞が取りあげ始めました。練馬区の関越道・大泉から世田谷区の東名高速・用賀までの十六`を「地下」方式の「外かん」でつなげるという計画ですが。
長谷川 都と国が「第一回東京外かく環状道路懇談会」で「地下化」構想をうちだしたのが、一昨年の9月です。昨年の3月に、都が、国や関係する練馬区、杉並区、武蔵野市、三鷹市、調布市、狛江市、世田谷区と「東京外かく環状道路とまちづくりに関する連絡会」を設置し、連絡会がもたれています。ですから、正確には石原知事のもとで始まったということではありません。
しかし石原知事が「周辺部交通アクセス改善」として、「外かん」に意欲的になっているのは事実です。6月になって都の都市計画局が、『外かんのどうしてこうして』というパンフレットを配布しています。
パンフレットでは「こんな外かんがあってもいいかも…」「地上のまちづくりは、こんなプランにすることも一つの方法です…」とか、「地下に高速道路を地上はまちづくりを」「外かんができれば、私たちのまちはこんなに住みやすく、快適になります」と「まちづくり」が押し出されていますが。
「話し合い」「住民参加」は計画押しつける常套手段
長谷川 91年にできたアメリカの総合陸上輸送効率化法で、計画策定にあたって広く住民の意見や意思を調査する時間を確保し、策定の過程を知らせるパブリック・インボルブメント(PI)方式が定められました。このパンフレットもそうですが、PI方式による住民参加のまちづくりというかっこうで、この「地下化」による「外かん」を進めようとしています。しかし、30年間計画が凍結されてきたというのは重みのある事実です。
当時は、高架方式で策定された計画でした。美濃部革新都政のもとでしたが、沿線住民、地元自治体、議会の強力な反対があって建設大臣も「凍結」を宣言したわけです。現在は、常磐道の埼玉県三郷インターから関越道の大泉ジャンクションまで「外かん」は完成し、三郷から市川市の東京湾岸道路までの間も着工が決まっています。しかし、大泉ー用賀間についての事情は何ひとつ変わっておらず、今も沿線住民は強く反対しています。
「動き出した」というのは、「高架を地下式にする」ことで、とにかく「外かん」は作る、という結論を前提に、沿線住民にことわりなく、一方的に「凍結」を解除したということです。「PI方式=話し合い」路線は、成田空港の場合の政府のやりくちと同じで、国の結論ははっきりしていて、それを飲ませるということです。だから外かん道路反対連盟をはじめ住民の人びとは、危機感をもつとともに、怒っています。
「高架」にせよ「地下化」にせよ、住宅地域・商店街を分断し、破壊します。さらに3000世帯の人びとを立ち退かせるわけです。住民が計画の白紙撤回(=凍結継続)を求めるのは当然です。立ち退き反対、これは「外かん」反対、「外かん東京ルート凍結」の原点です。
「地下化」は環境保全の配慮からという点については。
長谷川 高架の場合の排ガス・震動などの自動車公害や健康被害は、「地下化」で克服できるものではありません。都には、道路ができた後で事前の予測が正しかったかどうかを検証する「事後アセスメント」の制度がありますが、事後アセスメントでも「外かん練馬部分とレインボーブリッジの高速部分は大きな見込み違いがあった」と認めざるをえませんでした。
「地下化」の場合も、大泉や用賀のジャンクション一帯と、開口部をもうけた掘り割りスリット部分からの排ガス被害は、いっそうひどくなります。さらに中央高速と「外かん」のつながるジャンクション部分もそうです。
都はさかんに「地上はまちづくり」「緑豊かな整備」ということと「外かんによる交通渋滞の解消」を強調していますが、肝心の自動車公害、道路公害がもたらす健康被害については、対策もふくめて一言もありません。
ゼネコンに税金つぎ込む公害道路はもういらない
昨年夏には川崎公害訴訟の判決がありましたね。
長谷川 17年の裁判闘争、住民運動がもぎとった画期的判決です。NO2(二酸化窒素)やNOx(窒素酸化物)だけでなくSPM(浮遊粒子状物質)を道路公害とし、自動車排ガスと健康被害の因果関係を認定しました。また幹線道路網全体が生み出すという総合的検証にたった点も重要です。これは公害を生む道路はもうつくるなという点につながっていきます。
石原知事は、都心への自動車乗り入れ規制、交通渋滞の解消、周辺部の交通アクセス改善と、公約で掲げていましたね。
長谷川 そもそも今までの高速道路や幹線道路、環状道路は、みな「交通渋滞解消」をうたってつくられました。ところが、ますます車は集中し、交通渋滞と新たな道路建設のいたちごっこでした。石原知事は「新宿南口と四谷が地下トンネルとなって霞ケ関へスッといけるようになった。都内にそういう箇所は7カ所くらいある」と言い、また「大深度地下鉄」という構想も言っています。だから、石原知事は、「外かん東京ルート地下化」に意欲的なのですが、これは、「東京破壊計画」というべきものです。
第1に、震災を考えれば、東京は何重もの「地下過剰」で危険このうえないし、事故発生の場合は逃げ道もない。
第2に、「外かん・地下化」や「大深度地下鉄」は、いま問題になっている都営地下鉄12号や臨海副都心どころの工費ではすみません。しかも道路は工費だけでなく維持・整備のメンテナンスに膨大な費用がかかります。今年度で4000億、来年度で6200億といった財源不足をかかえている都が、またぞろゼネコンのために都市型公共事業に法外な金、私たちの税金をつぎこむなど許せません。
第3に、石原知事には、都民の健康やくらしなどこれっぽちも念頭にありません。道路公害も交通渋滞も、車優先の都市・道路計画が元凶です。生活道路優先にして、住民の健康と地域を守るべきです。
基地結ぶ軍用道路の柱 沿線住民とともに立とう
なぜ、こんなに反対があり、百害あって一利なしの「外かん」強行が、いま浮上してきたのでしょうか。
長谷川 3000世帯を立ち退きさせても国が作るという道路とは何か。大泉の先には、練馬基地、朝霞基地があります。東名と中央高速は東富士・北富士演習場につながっています。成田空港と米軍横田基地も「外かん」で直結です。
以前に私が『軍事都市に変貌する東京』で書いた通りの、有事の軍用道路の柱に「外かん」がなっているという点はひとつのポイントだと思います。
すでに東京ルート7区市の住民の30年間の闘いがあり、市川でも「これからが本番」という用地不売の黒松トラスト運動が始まっているとのことです。
沿線住民の人びととともに、あくまで白紙撤回させます。 |