1 石原都政の重要施策は大資本の利益
第2期石原都政は03年秋に、重要施策として「7つの戦略的取組」を決めました。第1期石原都政下では、一般財源経費が毎年のように削減されてきました。しかし、この重要施策の決定にともない、04年度予算案から7分野が「行革」の例外措置にされました。
これらはすべて大資本の利益のためのものです。つまり、社会保障を解体して社会保障費用をカットし、それで浮かせた資金を大資本のために使うということなのです。
第2期石原都政の重要施策―7つの戦略的取組
1 住み・働く場としての東京の再生
2 首都圏のポテンシャルを高める人と物の流れの実現
3 東京の特性を活かした産業力の強化
4 学校・家庭・地域でのトータルな教育改革
5 大都市東京にふさわしい福祉・医療改革
6 大都市の安全を高め、安心を確保するまちづくり
7 東京が率先する環境重視の都市づくり
「7つの戦略的取組」の第1が「住み・働く場としての東京の再生」です。「大都市東京の活力と魅力を高めるため、民間の活力を活用しつつ、市街地の機能更新や住宅の質の向上を図るなど、地域の個性を生かしたまちづくりを進めていく」としています。具体的には、@都有地を活用した民間プロジェクト、A民間住宅市場の活性化、Bビジネス機能の強化に向けた民間の取組の支援などがあげられています。
@では、品川区上大崎(目黒駅前)の都営バス営業所の縮小による土地、東村山市本町の都営住宅建て替えで生み出した土地に、民間活力を導入して再開発しています。要するに、「都市再生」を民間企業に丸投げするものです。従来は公的に行ってきた住宅や、都市基盤整備を大資本に好き放題にやらせようとしているわけです。要は、ここでも民営化です。
「7つの戦略的取組」の第2が「首都圏のポテンシャルを高める人と物の流れの実現」です。「海外主要都市と比べ脆弱(ぜいじゃく)な空港機能や三環状道路整備の遅れによる渋滞の発生等が首都圏の活力を損ねている。首都圏の潜在力を活かし、高めていくため、円滑な人と物の流れを実現する」としています。具体的には、以下のようなものです。
・羽田空港の再拡張・国際化
・横田飛行場の軍民両用化
・環状道路の建設
・東京港(川崎港、横浜港と合わせて「スーパー 中枢港湾」)の効率化と物流拠点の整備・更新
・多摩地区での民間活力による物流拠点の整備
2 大資本を潤し軍事都市化
この二つとも「都市再生」と言われるものです。もともと「都市再生」政策は、経団連が出した『新東京圏の創造』(98年)、『都市再生への提言』(99年)が元になっています。これを受けて石原都政が01年に「5年間で10兆円規模」の「都市再生プロジェクト」を決めました。この石原知事の直接の働きかけで、小泉政権も「都市再生」を国策にしていきました。要するに、資本家階級の要望にまず石原知事がこたえ、都政で「都市再生」政策が先取りされ、石原知事の要請で小泉政権の政策になっていったわけです。
この「都市再生」政策の狙いはとんでもないものです。@「都市再生」などという言い方をしていますが、バブル期の「都市再開発」と同じように、大規模な公共事業にほかなりません。ゼネコン救済の政策でしかないのです。また、「都市再生」政策による地価の引き上げは、地価暴落で増加してきた不良債権を減らす、という点では大銀行の救済のための政策でもあります。
A「都市再生」は、日本の大資本が国際競争で優位に立つための政策です。「7つの戦略的取組」では、「情報化の進展に伴う物流システムの革新やグローバリゼーションの進展など、物流を取り巻く環境の変化を踏まえながら、国際競争力の強化を目指した取組を積み重ねていく」としています。米国や欧州諸国との国際競争のために、空港・港湾・道路など物流を合理化し低価格化する狙いなのです。これも財界=資本家階級のためのものです。
B石原都政は、従来の首都移転論議を全否定し、郊外居住型ではなく職住一体型・都心居住型の東京都に転換させるとしています。汐留シオサイトや六本木ヒルズのような都心の高層ビル建設によって、資本家を潤すためです。また、都心居住型にして長時間労働・深夜労働をさらに促進する狙いもあります。この都心居住に合わせて、排気ガス汚染を伴う大幹線道路を都心からできるだけ外側に持っていこうとしているわけです。元副知事の青山は、「道路をつくれば環境がよくなる」(『石原都政副知事ノート』)と言っていますが、ここで言う環境は都心部に限ったものです。石原都政が環状道路完成にこだわるのは、そいういう理由もあるのです。環状道路建設は環境破壊の最たるものです。
C石原都政の「都市再生」政策は同時に、道路・港湾・空港という陸海空の全分野で軍事都市を築こうとするものです。「ビッグレスキュー東京2000」では、羽田空港に地方の航空自衛隊の大型輸送機が降りたち、晴海埠頭には地方の海上自衛隊の大型輸送艦が停泊し、江戸川区篠崎では戦車も通れる橋が架設されました。すでに軍事的な観点から交通手段のすべてが考えられているのです。ましてや「国民保護法」による戦争動員が具体化しつつある今、石原都政は交通手段をますます戦争のために再編し強化しようとしています。
3 住民無視の外環道と放射5号線
●30年以上凍結された外環道を石原知事がごり押し
石原が知事になった99年、首都圏3環状線の完成が都政の優先課題とされました。首都圏中央連絡自動車道(圏央道)、外環道(東京外郭(がいかく)環状道路)、首都高速中央環状線です。
外環道(都内は埼玉県境から練馬・杉並・世田谷などを通過し東名・用賀まで)の建設計画は、1966年に突然に決定され、杉並区でも地元をあげての反対運動が起きました。そして70年に建設大臣が「地元と話しうる条件が整うまで強行すべきではない」と凍結宣言し、その後長く凍結されたままでした。
ところが、99年10月に突然、石原知事が武蔵野市と練馬区を現地視察。この年末には石原知事が、外環道の大深度地下案を表明しました。これは住民の合意形成をとにかく引き出すための方策です。
02年には地元権者対策として、沿線7区市の住民と自治体・国・東京都による協議会が始まりました。PI方式〔注〕による外環沿線協議会です。ここで合意を形成したとして、一気に事業化する狙いだったのです。
これにたいし、地元善福寺住民を中心に、「外環道と青梅街道インターチェンジに反対する会」をはじめ住民運動が動きだしました。私たち都政を革新する会は区議会で、青梅街道インターチェンジがもたらす環境破壊を明らかにしました。大深度地下方式と言いながら「環境影響評価書」では旧来の高架式での計画の調査であること、大深度地下方式による地下水への影響なども無視したままであることなどを追及し、既成事実づくりのためのものであることをあばきました。03年に、杉並区は青梅街道インターチェンジに反対する姿勢を発表、国と都に要請しました。
昨年10月に、協議会のまとめが発表されました。外環道の必要性を示すための交通量の予測データを出さないまま、終了させてしまいました。今後は秘密会です。しかし、青梅街道インターチェンジ反対の大きな運動があるため、地元の合意を取り付けられないままです。大深度案では地下水脈などの環境を守る保証がないこともますます明らかになってきています。石原知事の好き勝手にはいかないのです。
はっきり言って石原知事がごり押しする「外環東京ルート地下化」は、「東京破壊計画」と言うべきものです。
第一に、密閉された大深度の地下で事故や火災が発生したらどうするのか。逃げ道もありません。地上の住民にとっても地下水脈の寸断などで、どんな危険が発生するかわかりません。
第二に、大深度地下建設は莫大な工費がかかります。建設工費だけでなく維持・整備にも年々膨大な費用がかかります。環境を破壊し、ゼネコンや自動車会社をもうけさせるだけの都市型公共事業に私たちの税金をつぎこむなど許せません。
40年近くにわたって外環道を阻み続けてきた住民の運動と結びついた力を都議会に送り、外環道をストップさせましょう。
〔注〕 pI=パブリック・インボルブメントの略。「計画の策定に際し、広く意見・意思を調査する時間を確保し、策定の過程を知る機会を設けること」とされているが、事業推進が前提で、「住民の意見は聞いた」というアリバイづくりでしかない。
●玉川上水の緑を破壊する放射5号
放射5号線は、1980年代に中央高速下・富士見ケ丘小学校前の一部開通工事をめぐって反対運動が起き、座り込みを強制排除して強行されました。残る部分は玉川上水にそったところです。東京都は玉川上水の両側に2車線の道路を作る案(A案とB案)、玉川上水を暗きょ化し、その上に道路をつくる案(C案)の3案を提案してきましたが、杉並区は3案とも環境を著しく害する恐れがあるとして、再検討を求めました。ところが都はB案を採用したのです。
杉並区の都市計画審議会では、学識経験者がB案に異議を表明しているにもかかわらず、自民・公明・民主・自由無所属の区議4人の審議委員が賛成に回り、10対9で都案を押し通してしまいました。地元住民にたいする裏切りです。その後、都で都市計画変更が決定され、昨秋から現地で測量が開始されています。
この件では、地元住民代表・都・区の三者による「放射5号線道路計画推進のための協議会」が行われてきました。3人の地権者代表はすべて大地主で、立ち退きを迫られる地権者は排除されて協議が進められています。計画敷地内に住む人は600世帯を超えています。その利害を無視して、一握りの議員や地主で勝手に進めることは許されません。
4 住民の力で石原都政の環境破壊とめよう
●ディーゼル規制のペテン
第2期石原都政は、その重要施策で環境保護をあげ「ディーゼル規制」を売り物にしていますが、本音では環境や住民の安全・健康などまったく考えていません。逆です。そもそも東京の大気を汚染する道路公害も交通渋滞も、国と石原都政による車優先の都市・道路計画が元凶です。大型道路を造ればつくるほど交通量が増え、車公害が拡大していったのはすでに事実が証明しているではありませんか。
ディーゼル車規制は「環境派」を装うためでしかありません。大手自動車企業のためにガソリン車に買い替えさせる思惑もありました。そもそもディーゼル車の大気汚染は自動車全体のそれの2割にすぎません。ディーゼル車の粒子状物質の排出だけを規制しても、呼吸器系障害の他の原因である二酸化窒素・光化学オキシダント、二酸化炭素の排出量は改善されないのです。またガソリン車も環境への影響は決して少なくありません。
石原都政は、02年には環境影響評価条例(いわゆる環境アセスメント条例)を改悪しています。従来は約20カ月を費やしていた環境アセスメント手続きの期間について、特定地域(都心、副都心、都市再生緊急整備地域等)の場合は、約9カ月に短縮しました。また、アセスの対象となる高層建築物を、上記特定地域の場合、従来の「100b以上かつ10万平方b以上」から「180b以上かつ15万平方b以上」に変更しました。東京都のアセス条例の改定は20年ぶりで、高層建築物の建設がたやすくできるようにされたのです。また、環境関連の予算を縮小し、環境局の理事ポストも削減しています。
このような環境破壊の「都市再生」は、必ず食い止めることができます。住民が団結して粘り強くたたかい、議会での反対と結びつけばいいのです。これまで、高円寺再開発を止め、浜田山の超高層マンションを一般設計に変えさせ、富士見ケ丘駅前の葬儀場建設を止めています。このような住民パワーと一つになって、私は石原都政とたたかいます。 |