1 都業務の民営化は絶対反対
●民営化が石原都政の第1の基軸に
石原知事は1期目の就任直後に、「公共事業なんてみんな民営化したらいいんだ。東京都職員は、みんな民間に引き取ってもらっていい」と言いはなちました(99年5月の『日経ビジネス』)。
第2期石原都政の最大の政策は都の事業・施設の民営化です。2期目になって「都政の構造改革」という言い方をしはじめました。その「改革の柱」の第1を「都の役割を見直す」としています(03年11月「第2次都庁改革アクションプラン」)。具体的には、「民間や区市町村などとの役割分担を明確にした上で、都が行ってきた仕事を民間へと開放するなど、都の行う必要性の薄れた事業を見直します」と明言しています。
●世界的に明らかになった民営化の弊害
そもそも民営化とは、どういうものでしょうか。石原知事は、民営化とは「都の改革」だと言います。小泉首相も日本経団連の奥田会長も、「改革」と叫んでいます。あたかも「改革」と言えば良いことであるかのように言っています。そして、「改革」とは主に民営化のことであり、それは国の財政赤字を減らし、効率化を進める“特効薬”であるかのように言われています。
しかし、石原知事を筆頭にして小泉、奥田ら自民党・政府・財界がこぞっていう民営化とはどういうものでしょうか。実は、ヨーロッパやアメリカなど全世界で、民営化がどんなにひどいものであるか、次々と明らかになっています。イギリスでは1993年に国鉄が分割され民営化されましたが、効率化するために安全のための投資が削減された結果、大列車事故が続発しました。財政も良くなるどころか無残に破たんし、鉄道をもう一度国営に戻す動きが強まっています。
アメリカでは、2000年末からカリフォルニア州で大停電事故が起きました。これも効率化を求めた電力自由化がもたらしたものです。アメリカでは、民営化や規制緩和による外注化が進められた結果、リストラ・首切りが膨大に増えています。派遣労働者や臨時雇用労働者が増加し、低賃金や労働強化による過労死がまんえんし、貧富の差が広がっています。医療保険に入れない人は4500万人で、6人に1人にも達しています。民営化や規制緩和の結果は、そうした労働者にとっては耐えがたい悲惨な状況なのです。ブッシュ大統領は、イラク戦争下で民営化を一層進めています。軍隊や国防総省(ペンタゴン)の一部すら民間委託しているありさまです。
このように民営化が労働者・民衆にとんでもない被害をもたらす中で、全世界で労働者が民営化反対の声をあげています。民営化反対が世界の労働運動の共通課題となっているほどです。このように労働者にとって不利益きわまりない民営化を、あたかも良いものであるかのように言いながら日本でやろうとしているのが石原都政や小泉政権にほかなりません。
●国鉄分割・民営化の狙いは労働組合つぶし
日本でも周知のように、1987年に国鉄分割・民営化が強行されました。日本では、イギリスと違ってうまくいっているかのように言われていますが、とんでもありません。JRになって、事故が続出しています。事故が起きても復旧がどれほど遅れるか、皆さんも日々の生活のなかで実感されているはずです。あの分割・民営化はいったいなんのために行われたのか。当時は「国鉄の赤字を解消するためだ」などと言われていました。しかし、当時の中曽根首相はのちになって、「国労が崩壊すれば総評が崩壊する。そのことを明確に意識してやった」(『AERA(アエラ)』96年12月30日号)と臆面(おくめん)もなく語っています。当時はいろいろなことが言われましたが、要するに国鉄分割・民営化の最大の狙いは労働組合つぶしにあったということなのです。これにたいし、今なお分割・民営化に反対するたたかいが、民営化で首を切られた1047名を先頭にしてたたかわれています。こうした労働者がいるかぎり、国鉄分割・民営化は必ず破たんします。
また、国鉄分割・民営化で、国の財政赤字は解消できたでしょうか。まったく逆ではないですか。「赤字解消のため」などというのは大嘘だったことが、今や歴史の事実としてはっきりしているのです。そもそも赤字や財政危機というのは、政府が大独占企業を儲け放題にさせてきた結果なのです。そこで、資本にもっと好き放題にさせるのが規制緩和や民営化にほかなりません。それで「赤字解消」ができるはずがないのです。
世界でも日本でも民営化とは、公的に行われていた事業を大独占企業の営利対象に転換させるものです。「効率化」などと言われていますが、念頭にあるのは大独占企業の利益だけです。民営化で市場原理が導入されれば、社会全体はますます弱肉強食に変えられていきます。また、「財政赤字解消」と称して、そのつけがすべて労働者にかぶせられ、結局は労働者のリストラ・首切り・賃下げになっていきます。さらには、民営化による安全面の合理化は事故や労働災害を激発させ、これもすべて労働者の犠牲につながります。何よりも、労働者が抵抗しようとしても、民営化の過程で労働組合をつぶしたり、屈服させたりすることで、一人ひとりの労働者がバラバラにされてしまいます。
石原知事が第2期石原都政の基軸政策としている民営化とは、こういうものなのです。
●都労連の中軸担う部門を民営化
では、石原都政が民営化しようとしているのは、なんでしょうか。この「第2次アクションプラン」には、具体的な民営化の実施施策が目白押しです。言い方としては、「民間との協働」「都の権限の見直し」「行政機関のあり方の見直し」と三つの言い方をしていますが、要するに民営化です。
別掲の表をみれば分かるように、非常に大規模な民営化計画です。表1では、病院や教育施設の整備、中央卸売市場の業務、浄水場の設備や下水処理業務、都営住宅の建て替え、給食調理業務、社会福祉施設など。表2では、都の事務全般、都営住宅、都道など。表3では、大学、都営地下鉄・都営バス、水道局、下水道局など。この表をみると、都の労働組合である都労連(東京都労働組合連合)の中軸を担ってきた部門が軒並み入っています。民営化の狙いが労組つぶしにあるのは明白です。しかもこの民営化には、毎日の生活のなかで誰もが関係している都事業がいくつも出ています。
この実施施策にそって、すでに民営化が進んでいます。
@交通局関連では、「東京都交通局経営計画(チャレンジ2004)」が策定されました。地下鉄業務の外注化をあげ、その受け皿として昨年4月に発足した東京地下鉄株式会社を想定しています。バス事業では、路線ごとの民営化が具体化しつつあります。
A上下水道局関連事業では、多摩水道の民営化、金町浄水場の民営化が進められています。
B中央卸売市場は、独立採算化と築地から豊州への移転が具体化しています。
C都立病院の民営化については先述しました。
Dまた、公園、児童館、福祉事務所、勤労福祉会館などの移管・整理・統合が進んでいます。
Eさらに「電子都庁推進計画」と称して、施設を売却しようとしています。
表1 「民間との協働」
@民間活力導入などによる都市再生、施設整備の推進
ア PFI(130p参照)の推進
多摩広域基幹病院・小児総合医療センター、がん・感染症医療センター、精神医療センター、豊洲新市場整備、船舶の係留保管施設、多摩地域ユース・プラザ(青少年教育施設)、朝霞浄水場、東京都美術館改修
イ 都有地活用の民間プロジェクト
都営住宅の建て替え
空き地に民間プロジェクト
A民間委託の拡大
ア 給与・旅費事務・休暇申請・福利厚生など総務事務
イ 新たな業務委託
建設業の許可申請、建築士の登録申請に係わる窓口、宅地建物取引業者の免許などに係わる窓口、市場の管理運営に係わる業務、建設局の用地取得業務、水道局の水質規制業務、下水道局の出張所の業務、下水処理場での簡易修繕、下水処理場での水処理業務
ウ 業務委託の拡大
巡視、電話交換、庁有車運転、用務員業務、給食調理業務、動物園の管理運営、建設局の道路管理業務、高速電車事業、都立図書館
B事業の民間移譲、民営方式
大久保病院、多摩老人医療センター、荏原病院、豊島病院、老人医療センター、小平・町田・日の出福祉園、練馬・調布福祉園と多摩療護園、大泉・練馬就労支援ホーム、中井児童学園、東部療育センター(仮称)、重症心身障害児(者)施設
C公の施設管理の民間への開放
ア 指針の策定
イ 指定管理者制度の導入
D都民・NPOなどとの協働
森林・里山の保全と回復
公園の維持管理
表2 「都の権限の見直し」
@区市町村との役割分担の見直し
ア 地方分権の推進
建築指導事務の市への移譲、八王子市・町田市への保健所事務の移譲、薬局などの許認可事務などの特別区への移譲、都の事務全般について区市町村への移譲の検討
イ 施設などの移管
都営住宅の区市町村への移管、地域化した都道の区市町村への移管、避難標識の区設置の認可、瑞江葬儀場(火葬場)の見直し・区移管、埋立地開発の道路の区への移管、海上公園の移管、区市の中高一貫教育校などの支援
A規制などの見直し
ア 施策を実現する規制緩和の取組
行政財産の目的外使用許可の適用範囲の拡大、道路など既存都市計画の柔軟な見直し、都市再生推進のため用途地域の見直し、 卸売市場の取引規制・許可制度の規制緩和、臨海地域の貸付・売却の促進、水辺の開発・利用の緩和
イ 規制改革の働きかけ
国への規制改革の提案
行政財産への私権設定の許可を国に要求
表3 「行政機関のあり方の見直し」
@地方独立行政法人制度の導入
A都立の大学の公立大学法人化
B試験研究機関のあり方
C公営企業のあり方
ア 公営企業共通
地方公営企業の経営のあり方全般の検討、数値目標を取り入れた経営目標、キャッシュフロー計算書など会計手法の検討
イ 交通局
都営地下鉄は営団地下鉄との関係を検討、都営バスは管理委託と輸送量の適正化
ウ 水道局
多摩地区水道経営の見直しと民間活用
エ 下水道局
下水道事業全般の民間との協働
Dその他公営企業の会計事業のあり方
交通事業、水道事業、下水道事業、都立病院、中央卸売市場
●都政を企業経営方式にして大リストラ
石原都政は、公的事業の民営化だけでなく、公的に残す事業についても民間企業の経営方式を導入しようとしています。しかし都政を企業経営方式で運営すればどうなるでしょうか。労働者はさらに大規模にリストラされます。石原知事は「将来、都職員の人事の多くの部分も人材派遣会社のような民間の企業の合理的能率的な手段によって採用、派遣されてもいいと思う」(『都政新聞』99年4月13日号)と言っています。95年の日経連の「新時代の『日本的経営』」では、正規雇用は1割、あとは非正規雇用にするという構想が出されました。すでに民間では「雇用の流動化」、不安定雇用化が急速に進んでいます。公的部門・事業に企業経営方式をもちこむことは、雇用の大削減と不安定雇用の激増、結局は失業者の増加をもたらすものになります。要は終身雇用制の解体が狙いなのです。
都職員の定数は、すでに00年度から02年度に5875人も削減され、03年度にさらに1444人の削減です。この4年間の合計削減は7319人にも上ります。このなかには清掃事業の区移管分は含まれていません。企業経営方式の持ちこみによる大リストラを止めましょう。
●戦争のために労組破壊を狙い民営化
私は都事業の民営化、都政への企業経営方式の導入には絶対反対です。私は都の労働者とともに民営化に反対してたたかいます。
私が民営化に反対するのは何よりも、民営化が労働組合をつぶす狙いがあるからです。事故や災害が続発するのは、労働組合をつぶしていることが背景にあります。労働者が団結してしっかり物を言うことができないと、職場はバラバラにされてしまい、そのなかで事故が起きるのです。
しかも民営化は、労働組合をつぶすことで結局は戦争につながっていくのです。日本はすでにイラクに派兵し侵略戦争に入っています。さらに今後、日米安保を世界化し、米軍と一体となって世界で侵略戦争をしかけようとしています。何よりも北朝鮮・中国にたいする大々的な侵略戦争を構えつつあります。かつての中国侵略戦争や太平洋戦争よりも大規模な戦争です。そのような本格的な戦争は、国家機構内に労働組合があるかぎりやれるはずがないのです。そこで、国家機構内の公務員の労働組合運動を一掃してしまおうとしているのです。戦争に反対する労組、あるいはそうした可能性を持った労組をあらかじめつぶしておこうとしているわけです。
ですから都の労働者民衆すべてが、自分の利害のかかった問題として民営化に反対しましょう。私たちは、二度と侵略戦争を繰り返さないと誓ってきたではありませんか。その誓いにかけて、戦争と労組破壊のための民営化を食い止めましょう。日本共産党は、民営化について「公的サービスの切り捨て反対」としか言いません。それでは民営化とたたかえません。
また、私が民営化に反対するのは、医療・福祉・教育・食料・下水道・交通機関など、生活に必要なものを貧しい者から奪い去ることになるからです。石原都政は、あたかも民営化によって「コスト」が安くなるかのように言っています。大嘘です。民営化されれば、その事業は民間企業によって、とくに大企業によって営利目的に経営されることになります。各種の利用料金がはね上がるのは確実です。また、中央卸売市場が民間委託されると、取引される食料が投機の対象とされ、値段も暴騰します。今ですら、貧しい者は生活に困っているのに、もっと生活できなくするなどというのは、本当に許せません。
さらに、民営化によって事業が大企業に任せられると、医療・下水道・交通機関・卸売市場などの安全が脅かされてしまいます。まだ記憶に新しいことですが、03年には日本を代表するような大企業で大事故が続発しました。エクソンモービル名古屋油槽(ゆそう)所の火災事故、新日鉄名古屋製鉄所の爆発事故、ブリヂストン栃木工場の火災事故などです。事故原因は、リストラによって熟練者がいなくなり、下請けに業務を丸投げしたことにあります。
都事業の民営化は、これと同じように熟練者のリストラと下請け化を招きます。上下水道や交通機関、そして卸売市場までもが民営化され、その安全が崩れれば、本当にとんでもない大事故が続発します。すでに民営化されたJRでは事故が続出しているのです。動労千葉は、運転保安を掲げて民営化と合理化に反対してたたかってきました。都の全労働者が動労千葉のようにたたかう必要があると、私は思います。
●小泉政権の民営化とたたかおう
小泉政権は「官から民へ」と称して、公的部門・事業の民営化を大々的に強行しつつあります。小泉政権は現在、郵政民営化を最大の政策にし、今年の通常国会では郵政民営化法案を成立させようとしています。また、「骨太方針4」(04年6月)では、「国および地方公共団体の事務・事業の民間への移管(民営化・民間譲渡・民間委託)を推進するとともに、公共施設の民間による管理運営、利活用の促進を図る」と明言しています。とくに「医療、福祉・保育、教育等」を重点分野として民営化を進めるとしています。さらに、「三位一体改革」で公的福祉、公的医療、学校教育、住宅建設などについて区市町村に負担を押しつけつつ、「官から民へ」という行政改革によって縮小し民営化しようとしています。「三位一体改革」も結局は民営化に行き着く面が強いのです。
他方で小泉政権は、「官の改革」と称して、行政改革、公務員制度改革、地方公務員制度改革などを促進しています。すでに、00年に新行政改革の大綱が閣議決定されており、01年末には公務員制度改革大綱も決まっています。これらは、公的部門にも企業経営方式を持ちこんで大リストラするというものです。
このように、公的部門・事業を民営化しつつ、公的部門・事業それ自体でも企業経営方式に転換していくこと、これが小泉政権の「構造改革」なのです。公共部門の民営化によって、大資本に新しい投資の場、市場、資金などを差し出す狙いがあります。また、公的部門への企業経営方式の導入も、資本の営利対象とされます。さらに、正規雇用を1割にする構想も、民営化と公共部門の企業経営方式への転換によって、本当に現実化するのです。
それは同時に、民営化および公的部門への企業経営方式導入によって労働組合運動の破壊を狙うものです。公務員制度改革大綱では、「公務員制度改革とは公務員に魂を入れる制度」「新しい政府で働く者は新しい公務員でなければならない」と露骨に言っています。そうやって公務員労働運動をつぶして、日本全体の労資関係を変えようとしているわけです。公務員労働運動が破壊されると、民間企業でももっとひどい状態になるのは必至です。そうなると、労働者は資本家と政府の言いなりにされてしまいます。
これが、小泉政権、そして日本経団連会長の奥田がやろうとしていることです。こうして、労働者民衆を好き放題に搾取・収奪できる社会に転換させ、あげくのはては労働者民衆を戦争に動員しようとしているのです。
●都では全国に先駆け民営化のあらゆる手法
第2期石原都政の基軸政策である民営化と公的部門への企業経営方式の導入は、この小泉政策の先導役にほかなりません。石原都政では、別掲のような民営化のあらゆる手法が全国に先駆けて使われています。このすべてが労組破壊の手段と化すのです。
■都事業の民営化のための手法
・PFI方式
公共事業に民間資金を取り入れる方式。民間企業が主導し、公共施設の企画・資金調達・建設・維持管理・運営を行う。99年のPFI法(民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律)の施行で可能となった。
・民営化・民間移譲・民間委託
・指定管理者制度
民間事業者などの指定管理者に公的施設の管理・運営を委託する制度。昨年6月に地方自治法が改悪され、9月から施行されて可能となった。
・独立行政法人化
・区市町村への都立施設の移管
・NPOとの協働
・行政組織の再編統合
・施設の廃止
・監理団体の再編統合
特に強調したいのはPFI(民間資金による社会資本整備)です。かつて、官民共同出資の第3セクター方式がありました。ところが、この第3セクターが軒並み債務を抱えてパンクしました。第3セクター方式では、自治体も経営にも加わっています。そこで、自治体を経営から外して、建設から運営まで民間企業に任せるPFI方式を導入したのです。PFIは、「公共事業に民間資金を取り入れる」という形をとっているとはいえ、その実質は逆に、民間企業が建設し運営する事業に公的資金が投入されるということです。民間企業にとってこれほど都合のいいことはありません。すでに、都営住宅や都立病院の建て替えに民間資金を導入し、ばくだいな利潤を資本に提供しています。 ●河川・道路・学校も民間の自由に
さらに石原都政は、国に注文をつけています。「国の仕組みを変える」と露骨な言葉で要求しています。とくに「行政財産にかかわる制限の緩和」を国に求めています。「行政財産」とは、河川、道路、港湾、学校、病院、図書館などの用地等のようなものを指します。石原都政が国に求めているのは、「行政財産」の規制を緩和させ、民間企業やNPOに自由に使わせるということです。表2をみると、「行政財産への私権設定の許可を国に要求」と明記されています。こんな規制緩和が実施されると、都の河川や道路や学校、そして病院までも民間の大企業に好き勝手に利用されてしまいます。つまり石原都政は、現在可能な民営化を実施したうえで、国に規制緩和を求めてさらに民営化を強めようという計画なのです。
民営化という点で石原都政が先導し、国政をも変えてしまおうとしているのです。石原都政の民営化とたたかうことは、小泉政権の民営化とのたたかいでもあり、日本の労働者民衆全体の未来がかかった意味を持っています。
2 給与削減、業績主義をやめさせよう
●労働者を犠牲に1000億円の財源確保
第2期石原都政は、「財政再建」と称してますます都の労働者に犠牲を押しつけてきています。04年度から3カ年の「財源確保の目標」として次ページのような方策をあげています(03年10月の「第2次財政再建推進プラン」)
総計で3700億円です。うち「内部努力」が1000億円にも上ります。「内部努力」とは、@まず給与関係費の削減です。具体的には、55歳での定期昇給の停止、職員定数の4000人削減(3年間)、退職手当の引き下げなどです。A「コスト管理の徹底」は、具体的には、公共施設の建設・維持管理の各段階でのコスト縮減などです。B「監理団体への支出の見直し」とは、東京都がやってきた監理団体への支出をやめて、監理団体を民営化したり、民間委託したりするということです。つまり、「内部努力で1000億円の財源確保」というのは、@給与削減と人員削減、Aリストラ、B民営化・民間委託で計1000億円を捻出(ねんしゅつ)しようというものなのです。このプランにそって、都の労働者にはさまざまな攻撃が襲いかかってきています。
■財源確保の目標(億円)
|
| 項目 |
目標額 |
計
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| 内部努力 |
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1000 |
| 給与関係費の削減 |
500 |
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| コスト管理の徹底 |
300 |
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| 管理団体に対する支出の見直し |
200 |
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| 施策の見直し |
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1200 |
| 歳入確保 |
400 |
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| 徴税努力 |
300 |
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| 受益者負担の適正化 |
100 |
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| 地方税財政制度の改善 |
|
1100 |
| 税源の委譲等 |
1000 |
|
| 財源調整措置等の廃止 |
100 |
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| 総計 |
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3700 |
●戦後の都政で最大の給与削減
石原知事が99年に当選した直後、最初にやったのは、「財政再建のため」と称した東京都職員の給与の削減とリストラでした。同年11月には「危機突破・戦略プラン」を作ります。このプランにそって、この5年間で実に100万円以上も給与を削減しています。これは、第2次大戦後の都政史上で最大の賃下げです。全国の地方自治体のなかでも、賃下げを率先してやっているのが石原都政にほかなりません。小泉政権と日本経団連の奥田会長は、年功型賃金制度を解体し、労働者全体の賃金を引き下げようとしています。石原都政は全国の自治体のなかでも、それを真っ先にやっているという点で突出しています。
●賃金を削減し労働者を分断する業績主義
とくに、労働者を分断し、給与を大幅削減する業績主義に私は反対です。業績主義的な賃金・人事制度は、労働者の自己申告にもとづく「目標」の設定、その「目標」の達成度に応じた「業績評価」、この「評価」によって賃金から昇進・昇格まですべてを決めるものです。人事考課、成績率、給与・処遇がセットになった制度です。鈴木都政で管理職の一部に導入され、青島都政で中間管理職にまで広がっていましたが、石原都政はそれを全行政職員に拡大しています。成績率をここまで導入したのは全国の自治体で初めてのことです。
これは、賃下げ、超過勤務・夜間勤務・サービス残業の強制、当局の恣意的な評価、労働者の差別・分断と団結破壊、国家にたいする忠誠度の「評価」など、とんでもない制度です。絶対に食い止めましょう。
●手当制度の見直しは賃金の大幅削減
さらに、「手当制度の見直し」もやめさせましょう。労働者は基本給以外に、さまざまな手当を当局・経営者に認めさせてきました。ところが、これを全廃しようとしているのです。退職手当もなくそうというのです。諸手当の廃止には反対です。
清掃事業は00年に区に移管され、昨年末の交渉の決着で現業調整額(3万7900円)が廃止されました。しかし、清掃労組は7カ月間にわたるたたかいで、日額特勤700円と現業調整額に代わる1300円分の本給繰り入れをかちとりました。清掃労組は1万2000部のパンフを配布して、団結して反撃しました。労働者が団結してたたかえば、都・区の攻撃を食い止めることができることを示しています。
●財政破たんの主因は臨海副都心開発の継続
石原都政は「財政再建のため」と称して、賃下げ、手当制度の見直し、人員削減などを強行しています。しかし、都の財政破たんの原因は何でしょうか。労働者の責任なのでしょうか。まったく違います。臨海副都心開発など、都の財政が資本家のために使われてきたこと、今も使われていることが原因です。
鈴木都政は4期16年続きましたが、80年代後半のバブルにのって一挙に都財政を「再建」し、1兆円を超える基金(貯金)をするまでになりました。ところが、その鈴木都政は、世界都市博、臨海副都心開発に湯水のように都の財政資金を使ったのです。その結果が都財政の再度の破たんだったわけです。
しかも、石原都政は、臨海副都心開発を続けているのです。臨海副都心関連の監理団体は軒並み債務超過に陥っています。ところが臨海副都心事業を無理やり継続しているため、さらに好き放題にカネがばらまかれつづけているのです。
3 都の戦争体制・戦争動員に反対
(写真 ビッグレスキュー2000(2009年月3日)
銀座を「制圧した自衛隊の装甲車、軍用トラックの列。都営地下鉄には迷彩服の自衛隊員が乗り込み、空には軍用ヘリコプターが編隊飛行。まるで軍事クーデターのような光景が展開された。)
●「ビッグレスキュー」から有事法制へ
石原知事は2000年9月3日に、総合防災訓練「ビッグレスキュー東京2000」を強行しました。首相の指揮する陸・海・空の3自衛隊7000人が出動し、警察の3000人と合わせると計1万人を超えました。参加した自衛隊の車両は1090両、航空機は82機、船舶は5隻にも上りました。ちなみに、1936年の2・26事件は中国侵略戦争の全面化の転機となった事件ですが、その時に動いた陸軍将兵は1500人弱です。9・3に出動した自衛隊はクーデターすら可能な規模だったのです。
とくに陸上自衛隊からは、砲兵部隊、高射砲兵部隊、対戦車隊も参加しています。“地震が起きた”という想定なのに、なぜ高射砲兵や対戦車隊が必要なのか。また、当初の計画では、習志野第1空挺団のパラシュート降下訓練も予定されていました。空挺団というのは、“敵”の背後や側面に降下して、前進拠点の確保、交通要衝の遮断、“敵”司令部や兵站(へいたん)施設の破壊などを行う部隊です。あまりにも露骨だったため、これは中止になりました。「防災訓練」と名がついていますが、実質は石原知事自身が公言したように「首相が総司令官になった陸海空の大演習」にほかなりません。
この軍事演習に向けて石原知事は、「三国人」発言を意図的に繰り返しました。4月には、陸自第1師団(練馬駐屯地)で、「今日の東京をみると、不法入国した多くの三国人、外国人が非常に凶悪な犯罪を繰り返している。こういう状況で、大きな災害が起きた時には大きな騒擾(そうじょう)事件が想定される」と。在日・滞日アジア人・外国人にたいする排外主義をあおって、労働者民衆を侵略戦争にかりたてようとの狙いです。これは、日本がますます戦争につっこんでいく時代にあって、絶対に許されない言動です。この一事だけでも、石原知事は引きずりおろされなければなりません。
この軍事演習は01年にも行われました。ひとまず2回で終わったわけですが、その後の国政の流れをみると恐るべき意味を持ちます。03年には、武力攻撃事態法など有事3法が成立しました。04年には有事関連7法と3協定・条約が成立しました。これらの有事法制は、イラク侵略戦争に自衛隊が本格的に参戦していくとともに、米軍と一体で北朝鮮や中国に侵略戦争をしかけていくための体制を築こうとするものです。「ビッグレスキュー」という名の大規模軍事演習は、そうした有事法制の成立に向けた地ならしとしてあったのです。石原知事は常々、「東京から日本を変える」と言います。どういうふうに変えるのかというと、日本を侵略戦争をやれる国家にするということなのです。
●「国民保護法」による戦争動員を拒否しよう
有事法制の一環として国民保護法が制定されました。これは“戦時に国民を保護するもの”ではありません。逆です。アメリカと日本が北朝鮮に戦争をしかけた場合、ミサイル攻撃や小規模ゲリラが置きうると想定し、その戦争のために国民を動員するものなのです。たとえば「住民の避難」にかんすることが決められていますが、これは住民のことを考えているわけではないのです。自衛隊や米軍の軍事作戦のために、一定地域の住民を強制的に移動させるということです。
政府は今年3月に「国民の保護に関する基本指針」を作成する方針です。すでに昨年12月にその要旨が出されました。この基本指針にもとづいて、05年度には都道府県、市町村、指定公共機関の「国民保護計画」が作成される予定になっています。すでに昨年9月には、有事に協力を求められる指定公共機関として160法人が指定されました。運輸・交通、放送、医療、電力、ガスなどです。都道府県から市町村の末端にまで全国くまなく、しかも主要公共機関を含めた戦争動員計画が作られようとしているのです。
この訓練もすでに始まっています。昨年11月30日には、政府による初の「対テロ図上訓練」が行われました。東京都内に複数の化学テロが発生したとの想定です。指定公共機関もこの訓練に参加しています。また、12月2日には、神奈川県警、警視庁、陸自第1師団による、共同図上訓練が行われました。これも初めてのことです。自動小銃で武装した6人が神奈川県の海岸から侵入し、都内に逃げながら警察官を攻撃した、との想定です。11月30日と12月2日の訓練はひとつながりのものにちがいありません。これらの訓練は、政府が策定中の「国民保護基本指針」に反映されます。すでにそれほど事態は進んでいるのです。
「東京都の国民保護計画」も05年度中に策定されようとしています。「ビッグレスキュー」や石原知事の「三国人」発言に見られるように、「東京都の国民保護計画」が全国で最もひどいものとなるのは必至です。この戦争動員計画に絶対反対しましょう。都の労働者すべてが、戦争に協力するか、戦争協力を拒否するか、いやおうなく突きつけられる時が来たのです。「日の丸・君が代」処分を受けた教育労働者の人たちは、戦争協力を拒否して立ち上がりました。また、NHKチーフプロデューサーの長井暁さんは、番組内容に事前検閲があったことを、職をかけて告発しました。都の公務員労働者すべてが、かれらにつづいて決起しましょう。
4 都労連の団結で闘おう
都で働く労働者の組織である都労連は10万人にもおよびます。1989年の総評解散と連合結成、共産党系の労働組合による全労連の結成に際しては、全労協を結成して対抗してきた歴史を持っています。右派の組合が台頭し、総評の左派と言われた官公労の労働組合がどんどん屈服していくなかでも、団結を維持してきました。国政も都政も、この都労連の階級的団結を破壊し、籠絡(ろうらく)し、翼賛化することを狙ってさまざまな攻撃をかけつづけてきました。しかし、都労連は国鉄闘争をたたかう陣形の中心でふんばりつづけています。また、昨年の都教委による「日の丸・君が代」処分にたいしても、都労連は処分に反対する姿勢を打ち出してきました。都労連は日本の労働運動の行方を左右するほどの大きな位置を占めているのです。
(写真 都労連総決起集会にて【2004年11月5日 西新宿都庁前】)
●本気で立ち上がれば石原知事は吹っ飛ばせる
労働組合は階級的に団結してたたかう以外にありません。思い出してください。99年11月、石原都政による賃下げ提案にたいして、都労連はストライキに立ち上がりました。「スト決行中」の大立て看板が第1庁舎、第2庁舎、議会棟の計11の入り口に立てられました。1000人のピケットラインで、あらかじめ組合が許可した管理職と業者以外はすべて庁舎に入れなかったのです。労働者はストライキによってはじめて、社会の真の主人公が労働者であることを理解します。社会を動かしているのは資本家や当局ではなく自分たち自身であり、労働者抜きに社会はまったく機能しないのです。
しかし、都労連幹部はその後、妥協してしまいました。その後、都議会は労使当事者交渉に干渉し、合意を議会で否決するまでになります。労働組合がなめられてしまったのではないでしょうか。石原知事は、労働者が本気で立ち上がれば必ず吹っ飛ばすことができるのです。処分を恐れず立ち上がった教育労働者は、石原知事―石原都政―都教委との激突を恐れていません。逆に、石原知事と都教委にたいして人間として、教育労働者として本当に怒りをもって、“ここは絶対に譲れない”という思いで立ち上がっているのです。しかも、都高教本部が屈服しているなかで、現場の組合員が必死に決起して、都高教全体をゆり動かしているのです。私は、このようにたたかう以外にないと思います。
●「闘争団はイラクへ行け」と言う日本共産党
ここで、どうしても、日本共産党がやっていることを批判しておかなければなりません。日本共産党は今や、労働組合運動にたいする破壊者になりはてているからです。
国労西日本エリア本部は、JR西労組(JR連合傘下)とともに、「国労闘争団1047名は国内には出番がない。イラクに行けば英雄になれる」と言うまでになっています。この国労西日本エリア本部の上村委員長は革同(国鉄革新同志会)に所属する日本共産党員です。この方針で、「イラク鉄道復興支援」方針を決め、駐日イラク大使館に「イラクに新幹線を建設すれば雇用創出に役立つ」と申し入れました。
日本の労働者人民は、イラクで民族解放のためにたたかっているイラク人民と連帯し、自衛隊のイラク撤兵のためにたたかうことが求められています。ところが日本共産党は、「イラク復興」を申し出ているのです。しかも、不当解雇とたたかう1047名を差し出しているのです。
これは国鉄闘争にとどまらない意味を持ちます。すでに述べてきたように、国政でも都政でも民営化と企業経営方式導入が吹き荒れ、多くの労働者が職場から追い出されようとしています。この追い出されようとしている労働者にたいして日本共産党はどういう方針なのかというと、「イラクに行け」ということなのです。かつて、「国内では食えない」からと言って中国侵略に送り出した満蒙開拓団と同じことを、日本共産党がやっているのです。
日本共産党は、昨年1月の第23回大会で綱領を大幅に変え、「労働者階級」や「労働組合」の言葉や考え方を完全に追放してしまいました。大失業が襲いかかり、自衛隊がイラクに派兵されている中で、日本共産党はこれとたたかうのではなく、完全に屈服し、逆に労働組合運動をつぶす側に移行してしまったのです。その現れが「闘争団はイラクに行け」なのです。そして今、労働者のなかから「小泉政権の打倒のために広範な統一行動をつくりだそう」という気運が盛り上がっていますが、日本共産党はこの広範な統一行動を妨害し、破壊することだけに腐心するまでになっています。私は、このような日本共産党とたたかう以外に労働組合運動の前進はないと強く思います。 |